それは、今から二十年近くも前の古い話になります。
当時、まだ若かった私は、カードローンやキャッシングについては右も左も分からないズブの素人でした。そんな私が或る日、生まれて初めて金融機関からお金を借りることになりました。その時、私は「もしも申し込んでも審査に落ちてしまったらどうしよう」と過度の不安を感じてしまったものした。
しかし、私は一つの名案が頭に思い浮かびました。それは、少しでもキャッシングの審査に通るために考え出した一つの作戦でした。その作戦は、名付けて「下手な鉄砲も数打ちゃ当たる作戦」です。それはどんな作戦かというと、要するに、一度に幾つものキャッシング会社に同時に申し込むことで、それらのうち最低どれか一社の審査には通るだろうと期待する作戦のことでした。
今思うと、何というバカバカしいことを思いついてしまったものかと我ながら情けなくなります。しかし、その時は真面目にそう考えたのでした。そして、本当にそれを実行に移したのです。確か、5、6社に申し込んだと記憶しています。
ところが、その結果は驚くべきものでした。何と1社の審査も通らずに全滅となってしまったのでした。私としては、「たぶん3社以上は審査に通るだろう」などと予想して、「実際にどのキャッシングを利用するのかは、後でゆっくり決めればいいや」とノンビリ構えていたのです。
しかし、結果は悪夢のような全滅でした。訳が分からずに茫然自失としてしまった私でしたが、気をしっかり持って融資に詳しい知人に事の顛末を報告して、適切なアドバイスを求めました。
すると知人から「一度に複数の会社に申し込むと審査には不利」という厳然とした事実を知らされました。もしも複数同時申し込みなんかすると、「この人は、よっぽどお金に困って切羽詰まった状態なんだろうな」と金融機関に思われてしまうそうです。金融機関には情報を共有できる仕組みがあるそうで、同時に複数の会社に申し込んだという情報は、会社には筒抜けなのだそうです。