マイホームのローンは住宅ローンと言われますが、数十年と長い期間をかけて返済していく事になりますよね。
しかし完済までの間、事情によりローンの支払いが遅れてしまうことも考えられます。
その滞納が長期にわたって実際支払いが出来なくなったらどうなるのでしょうか?
滞納が続くと差し押さえの可能性もありますが、他にはどんなことがおこるのか?
今回は住宅ローンを滞納するとどうなるのか?何ヶ月すると差し押さえになるのか?
またその対処法などをご紹介します。
記事の目次
住宅ローンを滞納するとどうなるの?
毎月やってくる、住宅ローンの支払いが大変という人もいるのではないでしょうか?
一般的には理想的な年収に占める住宅ローンの返済比率は20~25%以内と言われています。
しかし実際にはそれ以上の負担となっている人もたくさんいますね。
もし住宅ローンの支払いで家計が苦しいなと感じ始めたら、そのままにしておくのは要注意です。
住宅ローンの返済期間中に病気や失業、離婚など予期せぬ事が起こる可能性もあります。
そうしたことが起きれば、今は支払いが継続できても、今よりも困難になるかもしれません。
最悪なケースになると、家が強制的に競売となってしまう可能性もありますし、自己破産を選択しなくてはいけない状況にもなります。
こうした事態を防ぐためには、まずは家計を見直すことが大事です。
それでも厳しい場合は、住宅ローンを借りている金融機関に早めに相談し、返済額や返済期間を延ばして貰うなど返済プランの見直しをすることもオススメします。
また早期売却や家族からの援助など、自分の状況に合わせた適切な対処が必要です。
少しでも不安に感じ始めたら、なるべく早く行動にうつしましょう。
住宅ローンの滞納から差し押さえまでの流れは?
現在、住宅ローンを滞納している人だけでなく、今後滞納してしまう可能性がある人も、もし滞納が続いてしまうとどうなるかは気になりますよね。
それでは住宅ローンを滞納するとどんなことが起こるのかを時系列に沿ってご紹介します。
滞納1ヶ月
住宅ローンを滞納すると最初はどうなるでしょうか?
まず住宅ローンの返済として口座から引き落とし出来なかった場合、金融機関から電話やメールで、引き落とし出来なかったので別途振り込んでもらうよう、案内が来るのが一般的です。
1ヶ月程度の滞納ならば、勤務先や家庭の事情で支払いが遅れることもあるので、それほど問題はありません。
そのかわり、翌月までに滞納分を支払う事が求められます。
滞納2~3ヶ月
滞納も2ヶ月目となると、銀行からいわゆる催促状として、毎月の返済額に加え、遅延損害金(滞納に対するペナルティ)が加算された「支払い請求書」が届きます。
支払い請求書はハガキで届く場合が多く、なかには滞納期間や滞納金額が記されています。
ハガキと併せて、電話で催促される場合もあります。
この時点では厳しい催促はありませんが、短い期間の滞納であっても、「信用情報機関の事故情報」として記載されます。
1ヶ月分の支払いが遅れた履歴があっても、信用情報の履歴は残りますが、すぐに返済して正常化していれば、問題はありません。
ただし、2ヶ月、3ヶ月と遅れて締まったり、1ヶ月分の滞納であっても何度も繰り返してしまうというケースは注意先と見られてしまいます。
ブラックリストと呼ばれるほどではありませんが、この個人信用情報の事故履歴が頻繁に記載されている要注意先となり、クレジットカードが作れないといった状態になります。
この状態になるとブラックリスト登録されると思っておきましょう。
また、住宅ローンだけでなく、クレジットカードや自動車ローンなどの返済で自己が頻発していると、そもそも住宅ローンを組むことが難しくなります。
滞納3~4ヶ月
滞納してから大体3~4ヶ月が経過すると、銀行から「催告書」が届きます。
催告書には、「期日までに滞納している住宅ローンの元金、利息、遅延損害金を支払わないと「期限の利益の損失」となる、「このままの状況では法的手続きを取る」という内容が書かれるようになり、滞納1~2ヶ月目に届くハガキと比べると厳しい催促になっています。
なお、速ければ滞納してから2ヶ月程度で届く場合もあります。
期限の利益の損失というのは、住宅ローンでいえば「返済期間内で月々の分割で返済する権利を失う」ことを意味していて、言い換えると、約束した期限で分割による返済はできなくなり、一括返済を求められるという事です。
滞納5~6ヶ月
滞納してから大体6ヶ月ほど経過すると、「期限の利益損失」を告げる通知が届きます。
これ以降は住宅ローンを一括で返済しなければなりません。
なお、早ければ滞納してから4ヶ月程度で通知が届く場合もあります。
滞納6~7ヶ月
期限の利益を損失し、さらに時間が経過すると、住宅ローンの保証会社から「代位弁済通知」が届きます。
これは保証会社が債務者に代わって住宅ローンの残額を銀行に支払ったという知らせです。
これにより債務者(返済相手)が銀行から保証会社に代わります。
そのため銀行に代わって引き続き保証会社から返済の請求が来ることになります。
この後、保証会社へ住宅ローンの残額や遅延損害金などが一括返済されない場合は、競売の手続きが開始されます。
滞納8~9ヶ月
保証会社に対して支払いができず、滞納が8~9ヶ月となると、保証会社は裁判所へ「競売の申し立て」を行います。
滞納9~10ヶ月
競売の申し立てから、数週間で競売開始が決定されると、債務者に「競売開始決定通知」が届きます。
これにより裁判所が競売手続きを開始し、担保不動産は差し押さえられることになります。
不動産を指し押さえられても、すぐに退去させられる訳ではありませんが、指し押さえられた不動産の売却は自由に出来ず、債権者によって制限されます。
競売開始決定通知は、競売が開始となる日時を知らせる通知であり、競売を拒否することはできません。
住宅ローンを滞納すると、このように事態がどんどん深刻化していきます。
それでは、競売となる前にどのような対策をとればよいのかを紹介します。
最悪の事態を回避するための対処法は?
住宅ローンの支払いが厳しいと感じたら、最悪の事態を回避するために早めの対策を取ることが大事です。
まずは身近な所から始めることが先決ですが、状況がわるくなってしまっても諦めずに対策をしましょう。
家計を見直す
ローンの返済が辛い、厳しいと感じたら、まずは家計を見直すことから始めましょう。
保険料や通信費などの支払いのなかに、不必要な支払いや必要以上に高い支払いとなっているものがあるかもしれません。
契約しているプランの見直しや一部解約も検討しましょう。
他にも娯楽費や交際費など、見直せる物は全て見直し、支出を抑えることで、かけ員お負担が思ったより軽くなることもありますよ。
金融機関に相談する
家計を見直しても支払いが厳しいようなら、ローンを借りている金融機関に相談しましょう。
「支払いが難しいなんて相談してもよいのかな?」と思う人もいるかもしれませんが、早めに相談する事が何よりも得策です。
また、過去の金利の高い時代に借りた住宅ローンの場合は、これまで滞納がなく、きちんと返済していることが条件ですが、金融機関が金利の交渉に応じてくれるケースもあります。
返済計画の見直しの内容は金融機関によりますが、一時的な元金返済の猶予や返済期間の変更などを提案してくれる可能性があります。
ここで大切なのは、返済の滞納が発生する前に金融機関に相談する事です。
一度滞納をすると金融機関からの信用が落ちてしまいますが、滞納前なら金融機関も返済計画の見直しを提案しやすくなります。
返済計画の見直しをすると、最終的に返済額が増えると行った注意点もありますが、差し押さえや競売など最悪の事態を回避するという点では、充分に検討する価値がありますよ。
住宅ローンの借換をする
住宅ローンの返済が少し辛いと思っても、まだ比較的余裕のあるうちなら、住宅ローンの借り換えも支払いを軽くする手段の一つです。
住宅ローンの借り換えというのは、今借りている金融機関とは別の金融機関から、新たに条件の良い住宅ローンを借りて、今借りているローンは一括返済してローンを入れ替えることを言います。
今借りている住宅ローンよりも金利が低い物に借り換える場合は、今の残高と同額を借り換えたとしても金利が低くなる分、毎月の返済額を抑えることができます。
ただし、借り換えの際も融資手数料や新たな抵当権設定登記費用、印紙税などの諸費用がかかるほか、今借りている住宅ローンを完済するのでその抵当権抹消費用もかかります。
このような諸費用をかけて借り換えをするメリットがあるか、慎重に検討してください。
支払いが滞る前に売却する
住宅ローンの返済が難しい場合は、出来れば滞納する前、少なくとも滞納額が大きくなる前に家を売却することも検討しましょう。
ただし、売却する場合、手持ち資金や売却した資金で住宅ローンを完済出来ることがポイントになります。
そのためには、売却前に不動産会社に物件の査定をしてもらうことが大切です。
もし、手持ち資金がないうえに、思った以上に物件の査定額が低く、売却しても住宅ローンを完済できないようなら、やはり金融機関と相談が必要になります。
上記の様に通常の売却を検討してみたものの、売却資金では完済が難しい場合は、任意売却という選択肢もあります。
次に任意売却についてご紹介しましょう。
任意売却と言う選択肢!
任意売却というのは、住宅ローンの返済が出来なくなった場合、売約後も住宅ローンが残ってしまう不動産を金融機関の了承を得て売却する方法です。
売却資金でローンの残債をできるだけ解消することを目的としていて、金融機関の了承が得られれば、売却資金を充ててもローンが残ってしまう状態でも物件を売ることができます。
通常、任意売却が了承されるのは、相当の期間(6ヶ月程度)滞納した場合や、期限の利益が損失した後になりますね。
金融機関によっては任意売却を一切受け付けていない場合もあるので、金融機関に相談しておく必要があります。
任意売却の注意点は?
任意売却は債務者にとって有利な特徴がありますが、通常の方法でローンが支払えない場合に利用する売却方法であることに変わりありません。
そのため、通常の不動産売却とは違うリスクや注意点があります。
任意売却を検討するときには、以下の点もきちんと理解しておいてください。
任意売却にはタイムリミットがある
任意売却する場合は、競売の開礼日前日までに売却しなければなりません。
「任意売却をすれば、競売にかけられないし安心!」なんて思っている人もいますが、それは勘違いです。
競売を回避するには、開礼日前日までに物件の売却契約を交わすだけでなく、残代金を受取、残債を志原ステップまで終える必要があります。
たとえ任意売却の途中であっても、競売で落札者が決定されると、その時点で任意売却が出来なくなるので注意しましょう。
いずれにせよ、早い段階で金融機関に相談することが重要なポイントです。
また、任意売却する場合は、仲介する不動産会社と協力して積極的に売却活動を行う必要もあります。
ローンの支払いに困ったら、早めに行動するようにしてくださいね。
住宅ローンがなくならないこともある!
任意売却をした場合でも、ローンの残債が残ってしまうことがあります。
売却で得たお金はローンの返済に充てますが、売却金額が残債額を下回るケースではローンが残ってしまいます。
特に住宅の購入からまもなく、ローンの返済期間が長く残っているほど売却金額がローンの残債を下回ることが多くなります。
残ったローンは無担保の「残債務」になり、任意売却した後も返済しなければなりません。
任意売却の流れを紹介!
任意売却にはタイムリミットがありますので、余裕を持って手続きや取引を勧めていけるかどうかが重要になります。
万が一に備え、任意売却がどのように行われるのかをある程度シミュレーションしておきましょう。
- 任意売却を扱う不動産会社に相談する:任意売却する状況になったら早めに不動産会社に相談しましょう。
- 債務者の了承を得る:債務者には計画案を示し、売却金額や返済する残債額、諸費用などを含めた内容を了承して貰い、債務者の内部で承認後、任意売却の許可が得られます。
- 売却活動をする:不動産会社に売却活動を丸投げしないで、物件をよりよい条件で売却するように協力しましょう。
- 売買契約を行う:買主が見つかったら、通常の不動産売却と同じように売買契約を結びます。
- 引っ越し・決済・引渡:契約を結んだら、期日までに引っ越しをします。
まとめ
住宅ローンの滞納が続くと、信用情報への滞納履歴の掲載や、最悪競売に至るなど、生活にかかわる様々なリスクが生じてしまいます。
また、任意売却も競売に比べるとメリットもありますが、注意点も多いので気をつけましょう。
住宅ローンの支払いが厳しい場合には、まず家計の見直し、そして金融機関とローン条件の相談をしてください。
それが難しい様なら売却を検討するようにしてください。
なんにせよ、早めに相談する事が大事なので、ギリギリまで我慢せずに最悪の事態を回避するようにしてくださいね。