プロミスはその名前だけなら誰でも一度は聞いたことがあると言ってもいい大手消費者金融です。消費者金融と呼ばれる金融業者は実に1,000社以上存在しますが、その中でも一般に名前が知られているような大手と呼べる規模の会社は、実はほんの数社だけなのが実情です。
このプロミスは消費者金融の中でも業界1、2を争う存在で、現在ではSMBCグループの一員でもあります。
プロミスの歴史
プロミスは1962年に開業した関西金融株式会社が母体です。元から金融業専門の会社として設立され、その後、関西プロミス株式会社と改称し、更に関東地方に向けた関東プロミス株式会社を設立しました。
1970年にはその2つの会社とは別に、営業専門のプロミス株式会社を立ち上げ、3社体制になりました。消費者金融としての規模も序々に大きくなっていき、プロミスという名前が全国的にも知られてきたのはこの頃からです。
そして、1980年には関連会社も全て統合し、プロミス株式会社となりました。現在のような大手消費者金融としての規模のプロミスは、ここから始まったと言ってもいいでしょう。
1993年にライバル会社のアコムが日本初の自動契約機を設置すると、プロミスも1995年には同様の機械の設置を始めました。この2社は今でも切磋琢磨し合う同士の存在で、業界1位、2位を争っています。
このように、大手都市銀行のグループにも入り、順調にその消費者金融としての規模を拡大していったプロミスですが、2006年以降になると急激に業績が悪化してしまいます。その最大の原因が、次に挙げる”過払い金請求”です。
過払い金請求とは?
消費者金融は貸金業法、及び利息制限法に沿って営業を行っていますが、2005年までは利息制限法ではなく、本来は企業向けの出資法を個人に適用し、利息制限法で定められている範囲を超えた金利を徴収していた消費者金融がほとんどでした。
この出資法を適当した金利の徴収は、当時の貸金業法では違法とまでは言えなかった為、プロミスもご他聞に漏れず、そのような金利体系で営業していました。
ですが、2006年に貸金業法が現在のように改正され、利息制限法を遵守するように定められました。そして、それまでに徴収していた利息制限法を超える分の金利(いわゆる過払い金)の返還を命じる最高裁判決が出た為、この2006年頃から過払い金の返還請求が始まったのです。
過払い金請求による影響
前述のように、当時はほとんどの消費者金融で過払い金が発生するような金利体系で営業を行っていました。よって、この返還請求が法的に有効になると、各社ともかなりの返還額になりました。
当時業界1位の存在だった”武富士”は、この過払い金請求によって、やがて倒産してしまったくらいです。
同じく当時は大手消費者金融だった”レイク”もこの過払い金請求で経営破たん状態となり、新生銀行グループ 新生フィナンシャル レイクALSAに貸金業務を全て移管しました。
このレイクという会社名自体は現在でも新生銀行のカードローンとして残っていますが、今では消費者金融ではなく新生銀行カードローンレイクとなっています。
プロミスにとっても過払い金請求はかなりのダメージとなり、単独での会社の存続が難しくなるほどでしたが、SMBCグループの一員だったことから、同持ち株会社の完全子会社になることで、経営を立て直すことに成功しました。
この完全子会社化によって、社名をそれまでのプロミスから”SMBCコンシューマーファイナンス”と改称することになり、これは現在でもそのままです。
つまり、現在のプロミスという名称は、あくまでブランド名として残しているだけで、社名としてはSMBCコンシューマーファイナンスが正しい表記になります。
その後のプロミスの状況
プロミスはSMBCコンシューマーファイナンスと改称してからも、プロミスというブランド名でキャッシングサービスを行っています。
テレビのCMでも街中の看板でも”プロミス”を全面に押し出しており、一般にもSMBCコンシューマーファイナンスではなく、プロミスと呼んで構いません。
プロミスとは連結決算の対象で、業界で数字やランキングを発表する際には、2社を合わせてSMBCコンシューマーファイナンスとして表記することも多いです。
SMBCモビットとの住み分け
プロミス、モビットは共に同じ消費者金融なので、自然と顧客を取り合うことにもなってしまいますが、モビットはスマホやネットからの利用に特化したサービスの提供に力を入れており、どちらかと言えば若年層向けのキャッシングサービス会社だと言うことができます。
プロミスでもそのようなサービスを行っていないこともありませんが、そういったサービスはなるべくモビットに任せて、総合的な消費者金融として営業を行っていると見ることができます。
このように、同じ消費者金融でありながらもうまく住み分けをしていると言うことができそうです。
プロミスの現在の実績
現在大手消費者金融と呼べるのは、このプロミスとアコム、そしてアイフルの3社だけです。この中でアイフルだけは、現在でも特定の銀行のグループには所属しない独立系の消費者金融として営業を行っていますが、アコムは上でも書いたように、三菱UFJフィナンシャルグループの会社です。
大手と呼ばれる3社でも、やはり大手の銀行のグループに所属しているプロミスとアコムが抜けた存在で、この2社はここ数年、業界1、2を争っています。プロミスはモビットと連結決算の為、その分を含めて業界1位と表現されることも多いです。
2015-16年の営業実績では、プロミス(モビットも含む)、アコムの2社は営業利益が2000億円を超えており、共に3位のアイフルの約900億円に2倍以上もの差を付けています。この3社の力関係は今後もそのまま続くものと思われます。
プロミスの今後の展望
プロミスはSMBCコンシューマーファイナンスとして、顧客を獲得する為にそれぞれ別のサービスを提供することができるという面が優れていると言えるでしょう。
その具体的な実例として、つい最近にモビットが業界初となるスマホをローンカード代わりに利用できるという画期的なサービスを開始しました。このようなモバイル関係の分野はモビットの得意とするところです。
一時期は過払い金請求により、その存続さえ危ぶまれたこともありましたが、SMBCグループの完全子会社となったことで、現在では完全に経営を立て直すことに成功しました。そして、今後はモビットと更にうまく連携することによって、日本を代表する大手消費者金融として益々発展していくことでしょう。