新たに事業を始めようとして起業する際には基本的に何らかの形で融資を受けてから起業するケースが非常に多いです。
借入金がゼロの状態で起業することが出来るのがベストな状態ということになりますが、実際には自分で集めた貯金だけでは思い描いているような事業を展開することが出来ないために銀行を始めとする金融機関から借金をして起業することになります。
その際に利用される金融機関の中で最もオススメなのが公庫(日本政策金融公庫)となっていて、公庫というのは主に事業に関するローン商品を提供しているのが特徴的です。
また、借り入れをする際に発生する利息が利益を圧迫しないために思い描くように事業を展開することが出来るというのもメリットの一つです。
そこでこちらでは、公庫から借り入れをする際に提出が求められる書類について詳しく紹介していきます。
公庫からの借入は事業に関するローンが基本
公庫が提供しているローン商品というのは1つを除いて基本的には事業に関するローンを提供しています。
除外された1つというのは、個人向けの教育ローンとなっていて、こちらは最大350万円(留学の場合は450万円)までの融資を受けることが出来ます。
一般的な金融機関が提供している教育ローンと比較しても貸付金利が低くなっていますので、無利子の奨学金などを利用することが出来ない場合は利用することを検討してみても良いかもしれません。
もう1つの特徴としては、日本で大きな災害などが引き起こされた場合にも長期に渡って個人向けのローン商品を提供しているというケースもあります。
最近では東日本大震災がありましたが、2018年4月現在でも東日本大震災によって被害を受けた人を対象にしたローン商品が提供されています。
しかし、基本的には事業に関するローンが提供されていて、個人事業主や法人などの属性や事業種別などによって利用することが出来るローン商品が限定されていますので、その点に関しては注意しなければいけません。
提出が求められる書類について
こちらでは公庫を利用する際に提出が求められる書類について紹介していきます。
まずは基本となる書類については下記の5点が挙げられます。
- 借入申込書
- 直近2期分の確定申告書
- 決算後半年を経過している場合には、最新の試算表
- 法人の場合は登記簿謄本
- 身分証明書
これらの書類が基本となっていて、まだ事業を起こしていないというような場合には、事業計画書や返済計画表などの提出が求められることになります。
また、起業するための資金を融資してもらいたいという場合には、今までに貯金をしていた通帳の提出も求められることになりますので、その点に関しては注意しなければいけません。
それぞれの書類を準備する段階で注意しなければならないことに関しては後述で詳しく紹介していきます。
公庫の審査は準備段階で8割以上が決まる
上記では簡単に提出が求められる書類について紹介しましたが、肝心なのは単純に書類を準備するというだけではなく、どのような書類を準備するのかということになります。
既に事業を起こしている場合は、決算書や見積書などを用意するだけとなっていますので、注意しなければならないポイントというのは少なくなっています。
さらに、上記でも紹介したように、展開している事業によって利用することが出来るローン商品が限定されていますので、その点に関しても安心して利用することが出来ます。
大変なのは、これから事業を起こそうとしている場合に公庫を利用するケースとなっていて、この場合には創業計画書や事業計画書などの提出と合わせて貯金通帳や返済計画表などの提出が求められることになります。
それでは1つずつ順番に紹介していきます。
まずは創業計画書についてですが、こちらには融資される金額と同額以上の自己資金を持っていることが前提となっていて、高い確率で融資を受けたい場合には自己資金率を70%程度にまで引き上げたほうが良いでしょう。
具体例としては、事業を起こす際に1,000万円が必要ならば700万円までは自己資金で貯めて、残りの300万円を融資してもらうということです。
また、担保や保証人が無くても申し込みをすることは可能ですが、本人以外に1名以上の保証人を付けることが出来ると融資を受けることが出来る可能性がアップします。
最後に、創業計画書から事業全体の戦略を把握することが出来て、利益確率および客観性の高い事業であるということが明白となっていることが条件となっています。
新たに事業を起こす人の中には従来の事業では展開されていなかったような事業を起こしたいと考えている人も多いですが、このような事業の場合は従来の基準で判断をすることが出来ないために審査に通りづらい傾向にあります。
そのため、客観的に見ても収益性が高いビジネスを展開しようとしているほうが審査に通りやすいということを知っておいてください。
創業計画書と事業計画書は同列に判断されるケースが多いので、次は返済計画表について紹介していきます。
返済計画表というのは、融資が実行されてからどれくらいのペースで利益を出して返済をしていくのかということを分析した計画表となっています。
肝心なのは無理のない返済計画が立てられているのかということを判断することになっていますので、少しでもよく見られたいと思って無理のある返済計画を提出してしまうと、「正しい判断をすることが出来ない人」という烙印を押されてしまうために、その点に関しては注意しなければいけません。
最後に貯金通帳についてですが、こちらは出来れば生活感のある貯金通帳のほうが好ましいとされていて、貯金通帳には申し込み者がどのような生活をしているのかという情報が全て記載されています。
最低でも6ヶ月分以上の記録が残されている貯金通帳が必要となっていますので、短期間しか記録が残されていない場合は、以前に使っていた通帳の提出が求められることもあります。
また、生活感のある通帳を用意しても短期間で自己資金を集めたというような場合には友人知人や親などから借金をして貯金を作ったというように判断されることもありますので、あまりにも短期間で自己資金率を高めた場合には良い印象を与えることが出来ないケースもあります。
これらのことから、公庫に提出する書類については前もってキチンと準備をするということが重要になっています。
まとめ
いかがだったでしょうか?
これから事業を始めようとする人の多くは公庫の利用を検討する人が多いでしょう。
注意するポイントとしては、公庫からの融資は消費者金融や銀行からの融資と違って申し込みをしてから融資が実行されるまでに3週間~1ヶ月ほどの時間が掛かることが多いです。
そのため、資金繰りがショートしている状態で公庫を利用するというのは間に合わないケースが多いためにオススメすることが出来ませんが、時間に余裕があるという場合なら低い貸付金利で借りることが出来ますのでオススメです。
ただし、民間企業が提供しているビジネスローンと比較すると手続きの際に提出が求められる書類の種類や量が多くなっていますので、準備に関しては時間も手間も掛かるということを知っておいてください。