昨今、YouTubeの広告やWEBサイトバナー、コマーシャル放送などにて、よく耳にするようになった≪過払い請求≫という言葉――気になったことは、ございませんか?
その意味をちゃんと理解していなくとも、その語調から何となく“返済額を多く余分に支払う”ことだと伝わってくると思います。
「そんな“悪徳的な請求”が実際にあるの?」
――と、そう心配を抱かれる方も少なくありません。
まずは、≪過払い請求≫について、ご解説します。
≪過払い請求≫について
≪過払い請求≫とは、通常支払われるべき返済額(借入金+日数に適当な利息)を支払い終わったあともなお、続けて支払ってしまった(架空の借入金)のことを示しています。
たとえば――
- 借入金 :30万
- 借入日数:30日
- 金利 :18%(年率)
300,000(借入金)×0.18(金利)÷365(一年)×30日(一ヵ月)=4,438円(利息分)
300,000(借入金)+4,438円(利息分)=304,438円(支払うべき返済額)
以上のように実際は『304,438円』を支払えば、それで完済となるところを、意図的もしくは業務ミスから“返済金『+α円』”が足されていること≪過払い請求≫――そして、その請求額を支払ってしまった分がようするに≪過払い金≫。
何故、このような≪過払い請求≫が問題になっているかと言えば、(現在2016年)ですけれど、2010年6月の『賃金業法』改正が施行されるまで“グレーゾーン金利”というモノが存在したためです。
グレーゾーン金利とは――
2010年6月の『賃金業法』改正にて大きく変化したことは、出資法の利息上限を利息制限法と同一になるまで引き下げしたことです。それまで利息制限法の上限が20%(年率)であったのにも関わらず、(刑罰を与えられる)出資法の利息上限が29.2%(年率)であったため、多くの金融機関が利息上限法を無視し「刑罰の対象にならないのなら……」と29.2%(年率)のぎりぎりまで利息を上げていました。
その9.2%(年率)は、“グレーゾーン金利”と呼ばれ認知されていましたが、昨今に至り「やっぱりアレは不当な支払いだ!」と嘆く方が増えてきたため、その過去の支払い額を≪過払い請求≫と呼び、≪過払い金≫の返還を求める運動にまで現在では発展しているのです。
支払うべき返済額を支払ってもなお、借入残高が残っていて「おかしい」と思ったものの当時は、そこからどんどん金利が高まってしまうし、支払わなければ返済遅滞でブラックリスト入りしてしまうため、やむを得なく支払ってしまったのでしょう。
ちゃんと弁護士を通して≪過払い金≫の返還を申請すれば、必ず返還されるそうですが――なんと、昨年の≪過払い金≫の返還総額が『数百億円』にまでのぼる、というのだから驚きです。
それでもまだ、とある機関が調べたところ≪過払い金≫で返還されていない額が『数兆円』まであるのだそうです。
「グレーゾーン金利は、業務状のミスから生じたもので……」
――いったいどれだけ業務ミスしてたんだ……。
まぁそれは良いとして、問題となるのは、そういった≪過払い請求≫を起こしていたのが、いわゆるまともな“金融機関”であったこと。
「どうせそんな“悪徳的な請求”なんて、闇金だけだろう」
と思われるかもしれませんが、消費者金融会社や銀行などのカードローンやキャッシングで、それだけの≪過払い請求≫が日常的に生じていたのです。
そして、もともと法律などを無視して存在している闇金業者においては、その会社の実態が掴めないため、≪過払い金≫の返還申請はほとんどができない状態であるとか。
ともあれ、もしも≪過払い金≫を取り戻せるのであれば、ぜひ取り戻したいところ。
そこで≪過払い金≫の返還申請の方法について簡単にまとめてみました。
≪過払い金≫の返還申請の方法
まず“注目すべきポイント”は、3つ。
① 2006年から2010年6月までのあいだの“借入”利用していたか、どうか?
――≪過払い金≫の返還申請ができるのは、≪過払い請求≫が発生してから10年以内まで。
現在2016年なので、10年前の2006年あたりからの返済額が≪過払い金≫返還の対象となります。
② 借入場所が正規の会社か、どうか?
――正規の会社から借入した場合は、≪過払い金≫返還申請が通る可能性がありますけれど、正規でない、いわゆる闇金業社からの“返還”はほとんど不可能、費用と労力の無駄になりますのでご注意ください。
③ 借入した会社が倒産していないか、どうか?
――会社がすでに倒産していたら≪過払い金≫返還申請は不可能です。
あえて一度倒産して、名前を変更している会社もありますので、そういった場合はあきらめましょう。
≪過払い金≫まとめ
ようするに≪過払い請求≫というのは2010年6月の賃金業法改正とともに撤廃された“グレーゾーン金利”と一緒に消滅したと考えて問題ありません。
現在において≪過払い請求≫を起こしていたならば、そのまま刑罰の対象となるため、有名な会社や銀行などでは今でも≪過払い請求≫を起こしているということは、まず「ありえない」でしょう。
――ですから、これから借入をしたいと望んでいる方が「≪過払い請求≫なんてあるのか……」と恐れ、心配する必要は微塵もありませんのでご安心ください。