昨今の日本では、キャッシングなどの借り入れを利用している人の数は急増しているとされています。
バブル時期に比べると減少していると言われていますが、それは1件あたりの借り入れをしている金額が減少しているだけで、何らかの形でキャッシングやローンを利用している人の数は多くなっています。
このような場合に起きる問題としては、借り入れをしている人が亡くなってしまった場合の相続に関する問題となっていて、亡くなった方の資産を全て把握しているということなら問題ないかもしれませんが、そのようなケースは稀でしょう。
そのため、借り入れをしたまま亡くなってしまったために遺された家族や親族がトラブルに見舞われてしまうということも十分に考えられます。
そこでこちらでは、借り入れをしたまま亡くなってしまった場合に起きやすい相続に関する問題について詳しく紹介していきます。
相続する際の遺産に振り分けられるものとは
誰かが亡くなった場合は亡くなった人が所有していた財産を相続することになります。
ちなみに、相続を放棄するということも可能になっていますので、遺族内でのトラブルを回避したいという場合には相続を回避すると良いでしょう。
こちらでは、相続をする際に遺産として振り分けられやすいものについて詳しく紹介していきます。
よくあるケースとしては、住居や土地などの不動産、自動車や貴金属類などの動産などが挙げられます。
その他にも最近では株式や為替などで利用している有価証券なども遺産として相続するケースが多くなっています。
事業家が亡くなった場合には担当の弁護士や税理士が全ての手続きをしてくれるケースが多くなっていますが、個人の場合は基本的に全ての手続きを自分たちで行わなければいけません。
相続の際に発生する税金については別問題となりますので、司法書士や弁護士に相談をしてみると良いでしょう。
負債も遺産の一つとなっている
そのため、土地や家屋、自動車や有価証券などのプラスの遺産だけではなく、キャッシングローンや自動車ローン、友人・知人からの借金などに関しても引き継がなければならないということを知っておいてください。
基本的には、プラスもマイナスも合わせて全ての遺産を受け継ぐことを相続といいますが、相続は単純承認と限定承認の2つに分けられていて手続きも内容も異なるのが特徴的です。
単純承認というのは、簡単に説明するとプラスの財産もマイナスの財産も全てを受け継ぐという手続きになっていて、マイナスの財産のほうが多ければ損をすることになり、プラスが多ければ得をするという仕組みです。
限定承認の場合は、マイナスの財産があってもプラスの財産の範囲内で受け継ぐという仕組みになっていることが挙げられます。
そのため、例えば1,000万円のプラス財産と2,000万円のマイナス財産があった場合に、1,000万円分のマイナス財産に関しては受け継ぐが、残りの1,000万円分のマイナス財産については放棄することが出来るというような仕組みになっています。
限定承認のメリットに関しては後述でも紹介しますが、相続をした後に発覚した財産も含めて検討することが出来るということにあります。
注意しなければいけないポイントとしては、単純承認の場合は被相続人が1人でも手続きをすることが出来ますが、限定承認の場合は相続人の全員が共同で申請しなければいけませんので、相続人の中で誰か1人でも「単純承認が良い」と言ってしまうと手続きをすることが出来ないということになります。
また、相続人の中で相続放棄をしている人がいる場合でも、その人以外の全員が限定承認に賛成している場合は手続きをすることが可能です。
このように限定承認の場合は単純承認に比べて相続をする上でのメリットは多くなっていますが、手続きに関しては単純承認よりも遥かに面倒な手続きをしなければいけないために、その点に関しては注意するようにしてください。
知らなかった負債は相続後に検討できる
上記でも少しだけ紹介しましたが、相続というのは資産も負債も合わせて受け継ぐことを指しています。
しかし、日本人の場合は特に「お金を借りる」ということに関して忌避感を持っている人が非常に多いために、自分の身内に対しても借り入れをしているということを話さない人が多いです。
親や兄弟の場合でも、お金に関する話をするのはタブーとなっているケースも多いために、亡くなった人が何かの借り入れをしているということ自体を知らないということも多いでしょう。
そのような場合に引き起こるのが、相続後にマイナスの財産が発見されるというものになっています。
相続を承認したあとになると、マイナスの財産が発見されてしまった場合は、その財産も相続しなければならないということになりますが、上記で紹介した限定承認の手続きをしていれば、相続後に発見されたマイナスの財産に関しては相続を放棄することが可能になります。
また、単純承認を選択した場合は、亡くなってから3ヶ月間で承認が確定するというような仕組みになっていますが、3ヶ月が経過した後にマイナスの財産が発見されてしまったというような場合には、さらに3ヶ月間の猶予期間が与えられるようになります。
カードローンを始めとする一般的な消費者金融や銀行などを利用している場合には、亡くなってから3ヶ月以内に必ず何らかの形で借り入れをしていた事実を知ることになります。
しかし、友人や知人からの借金もしくは、個人間での借り入れなどの場合は返済時期にならないと借り入れをしている事実すら分からないということは珍しいことではありません。
債権者の場合は現金を回収することが目的なので、違法行為をして貸付金を回収するというようなことはありませんが、単純承認をしている場合の3ヶ月間の猶予期間や、限定承認をしている場合の負債の免除などについては知らせる必要は無いことです。
そのため、相続人が無知なのを良いことに債権を回収されてしまう恐れもありますので、正しい知識を身につけることが大切となっています。
まとめ
いかがだったでしょうか?
相続をした際に借り入れをしていた分を知らなかったというのは、よくある話です。
そして、トラブルになりやすい部分でもあります。
キャッシングやローンなどの借り入れをしている場合に、遺産相続のトラブルが引き起こされていると時間を掛けている間に負債が全て判明するというようなことも多いです。
しかし、全ての遺族が遺産を相続する際にトラブルを引き起こしているということではありませんので、何事も問題がないように見えて、実は多額の借り入れをしていたというような話はよくあります。
特に家族でお金に関する話をしない家庭で過ごしていた人の場合は、亡くなってから全てが発覚するというようなケースも少なくありませんので、万が一に備えて自分の抱えている負債に関してはメモ書きなどで残しておいたほうがいいかもしれません。
また、銀行の通帳や預金残高なども家族間のことはキチンと把握しておくことによって、余計なトラブルを未然に防ぐことが出来るようになります。