一般的な法人企業が借り入れをするとなると、事業性の融資やビジネスローンを利用するということになりますが、NPO法人の場合は少し仕様が異なります。
NPO法人の場合は、一般的に提供されているビジネスローンを利用することが出来ないケースが非常に多くなっているために、NPO法人が借り入れをするとなると、NPO法人専用のローン商品を利用しなければならないということを知っておいてください。
NPO法人が借入をする場合は一般的なビジネスローンと同様に無担保での貸付が基本となっていますが、介護保険報酬や不動産を担保にすることによって多額の借り入れをすることも可能になっています。
こちらでは、NPO法人の簡単な仕組みと、NPO法人が金融機関から借り入れをする際にはどのような手続きが必要なのかということについて詳しく紹介していきます。
NPO法人とは、どのような法人形態のことを指すのか?
NPO法人というのは、特定非営利活動法人となっていて、簡単に言えば利益を求めない法人団体のことを指します。
しかし、世の中には営利を求めすぎているNPO法人も多くなっていますので、その辺りの線引きについては曖昧になっていることが特徴的です。
近年ではNPO法人の設立数も多くなっていて、様々な分野でNPO法人が申請されています。
古くはボランティア団体の総称ともなっていましたが、1998年以降は政府や自治体の認証を受けた団体のことを指していて、2015年以降は金融機関から保証付き融資を受けることも出来るようになりました。
ただし、全てのNPO法人が保証付き融資を受けることが出来るということではなく、事業型のNPO法人のみが対象となっていますので、NPO法人を立ち上げたからと言って保証付き融資を受けることが出来るというように勘違いしないでください。
NPO法人が借入をする際の手続きの流れについて
NPO法人が金融機関から借り入れをする際の手続きについては、一般企業がビジネスローンを利用したり、個人がカードローンを利用したりするよりも遥かに多くの手間や時間、そして書類が必要となります。
近年、日本ではNPO法人の設立が多くなっているということもあり、日本の公的な政策金融機関となっている日本政策金融公庫では年々融資金額が増加しているというデータもあります。
ちなみに、一般的な銀行や信用金庫などでもNPO法人向けのローン商品などを提供していますが、貸付金利や融資期間などを比較すると日本政策金融公庫から借入をしたほうが、メリットが大きいということになりますので、公庫を利用するケースが多いのが特徴的です。
そのため、こちらでは日本政策金融公庫からNPO法人が借り入れをする際の手続きの流れについて詳しく紹介していきます。
まずは全体の流れについて紹介していきますが、NPO法人が日本政策金融公庫から借り入れをする際の手続きの流れについては、下記の5つのステップによって構成されていることが挙げられます。
- 最寄りの店舗に相談をする
- 申込時の必要書類を準備して、申し込みの手続きをする
- 審査が開始される
- 契約を締結する際の書類を準備して、契約を交わす
- 融資が実行される
このような流れになっていて、流れだけを見ると一般的に提供されているビジネスローンや、個人で利用する証書貸付タイプのローン商品と変わらないことが特徴的です。
しかし、細部では色々と異なる部分も多いので、それぞれの手続きについてもう少し詳しく紹介します。
まずは申し込みをする前の準備についてですが、こちらは店舗に直接来店をして相談をすることから始まります。
また、来店をする前には電話でアポイントメントを取ってからスタートすることになりますので、具体的な相談をする前に電話で問い合わせをすることから初めたほうが良いでしょう。
電話で問い合わせをした時点で、相談をする際に持って行ったほうが良い書類について提示されることになりますが、こちらは確定申告書や決算書といった財産管理が分かる書類と、事業計画書や創業計画書といった事業を把握することが出来る書類の2通りとなっています。
具体的な相談をすることによって、審査が始まる前にどのようにすれば融資が可決されるのかということを大まかに判断することが出来ますので、準備を怠らないようにしてください。
申し込みから審査が行われて、融資が実行されるまでの時間については、状況によっても異なりますが通常は1ヶ月程度の時間が必要となります。
そのため、個人で利用することが出来る消費者金融のカードローンと同じような感覚で申し込みをすると思いがけないような時間が掛かることになりますので、その点については注意してください。
NPO法人が借入をする際に必要な書類とは
こちらでは、NPO法人が借入の手続きをする際に提出が求められる書類について詳しく紹介していきます。
手続きの流れについては、上記で紹介したとおりになっていますが、書類が必要なタイミングについては、主に「申込みをする前」、「申込みをする際」、「審査を受ける際」の3つのタイミングがあります。
まずは申し込みをする前に準備したほうが良い書類についてですが、こちらは上記でも紹介したように確定申告書や決算書、創業計画書といった書類になります。
その理由としては、これらの書類を準備してから相談をすることによって、より具体的な相談をすることが出来るために、融資の可否や融資を受けるためのどのようなことをすれば良いのかということが明確になるためです。
ちなみに、申し込みをする前の書類については準備をしなくても良いということになりますが、準備をすることによって融資が可決する可能性がアップするのは言うまでもありません。
次に申込時に準備する書類についてですが、こちらは下記の6点が挙げられます。
- 登記簿謄本
- 最近2期分の確定申告書および決算書
- 最近の試算表
- 見積書(設備資金の申込みの場合)
- 団体概要書
- 創業計画書
こちらでは、申し込みをする前に準備したほうが良いとされる書類も含まれていますが、申し込みをする時点では必ず提出が求められることになりますので、前もって準備をしておいたほうが良いということになります。
最後に審査を受ける際に提出しなければならない書類についてですが、こちらは下記の10点が挙げられます。
- 確定申告書および決算書
- 法人税、事業税、消費税および源泉所得税の領収書
- 預金通帳
- 借入金のある場合は、毎月の支払額、借入金残高の分かる書類
- 不動産の賃貸借契約書および地代、家賃の領収書
- 営業許可書、認可証、資格または免許を証明するもの
- 決算以降の月別売上がわかる資料
- 運転免許証やパスポート、在留カードや特別永住者証明書などの本人確認書類
- 資金繰り表
- 雇用維持、拡大計画書
これらの書類が必要となり、申し込みをする際に提出する書類と被るものも多いですが、それらについては同じ書類を提出しても構いません。
また、審査では担当者が行う審査の他にも面談や事業所への訪問などもありますので、それらについても対応しなければいけません。
これらの手続きが完了すると、借用証書などで契約を締結することによって融資が可決されることになります。
融資の完了後は、毎月一定の金額の返済を完済まで続けるということになりますので、その点については一般的に利用されている証書貸付タイプのローンと変わらないということが特徴的です。
まとめ
いかがだったでしょうか?
NPO法人が借り入れをするとなると、特別な手続きが必要のように見えるかもしれませんが、実際には一般企業が融資を受ける際の手続きと変わらないことが挙げられます。
ただし、準備しなければならない書類については一般企業と大きく異なりますので、その点については注意して手続きをするようにしたほうが良いでしょう。