「○○円借りたいのですが――」
「あーそれだと、いろいろと総量規制とか賃金業法とかあって……云々」
――このような経験はございませんか?
ムズカシイ言葉や知らない単語を、あたかも聞いている側が理解している前提で並べ立てられてしまうと、知らない側からしたら“何も言えなくなって”しまいますよね。
「じゃ……じゃあ、○○円に下げて――」
「あーだからさぁ、いろいろと総量規制とか賃金業法とかあって……云々」
いくら抵抗しようとしても、その『言葉の意味』を理解していない限り、どうあがいても仕方ありません。
「その総量規制って何ですか?」
「そんなことも知らないで借りに来たんですか……ハァ……(溜息)」
(たった数分でできる)説明をしようともしないくせに、偉そうにべらべらとムダ口ばかり喋る相手は、本当に腹立たしいですよね。
――まぁしかし、少し冷静になって、相手の立場で考えてみると、何も知らないくせにでしゃばって『あれではダメか?』『こうではダメか?』と、いくら「無理です!」とハッキリ言っても引き下がらない相手が来たら、それはそれでいまいましいと思いませんか。
≪最低限度の知識は、学習しておかなければならない!≫
そこで此度は、キャッシングに関する“法・規制”など、よく使われる言葉について、それぞれ分かりやすくくだいてご解説します。
キャッシングなど、借り入れを行う場合は、一読して多少覚えておきましょう。
キャッシングに関する“法・規制・その他”
出資法
第五条 金銭の貸付けを行う者が、年百九・五パーセントを超える割合による利息の契約をしたときは、五年以下の懲役若しくは千万円以下の罰金に処し、又はこれを併科する。当該割合を超える割合による利息を受領し、又はその支払を要求した者も、同様とする。
出資法というのは、言ってしまえば『お金を貸し借りする場合における利息などのルール』のことです。
出資法第五条では、『一般人(貸し)→一般人(借り)』の場合を示していて、(年率)109.5%までは罪に問われないことを示しています。
10,000万円借りた場合、一年のうちであれば20,950円で返すことになってもルール上問題ないということ。
しかし、一般的には『企業(貸し)→一般人(借り)』という立場で借り入れしますよね?
第五条 2 前項の規定にかかわらず、金銭の貸付けを行う者が業として金銭の貸付けを行う場合において、年二十パーセントを超える割合による利息の契約をしたときは、五年以下の懲役若しくは千万円以下の罰金に処し、又はこれを併科する。その貸付けに関し、当該割合を超える割合による利息を受領し、又はその支払を要求した者も、同様とする。
の2では、お金を貸すことを仕事にしている人が、一般人にお金を貸すとき、(年率)20%以下で指定しなければならないことを示しています。
この法律があるから、高い年率でお金をボッたくられないよう守られているわけですね。
ただしかし、企業として動いているようにみせて個人として動き、(年率)109.5%まで上げる危険な人もなかにはいるので注意しましょう。
※ 法律では1日あたり0.3%が上限なので、たった数日借りただけで、多額を請求されたら、即座に弁護士に相談しましょう。
賃金業法
賃金業法というのは、『お金の貸し借りにおけるルール』の総称です。
賃金業法のなかにいろいろなルールが収まる形式で、“総量規制”や“賃金業者の規制”なども含まれています。
総量規制
第十三条の二 2 前項に規定する「個人過剰貸付契約」とは、個人顧客を相手方とする貸付けに係る契約で、当該貸付けに係る契約を締結することにより、当該個人顧客に係る個人顧客合算額が当該個人顧客に係る基準額(その年間の給与及びこれに類する定期的な収入の金額として内閣府令で定めるものを合算した額に三分の一を乗じて得た額をいう。次条第五項において同じ。)を超えることとなるものをいう。
『基準額(その年間の給与及び収入の金額の3分の1)』だけ注目すれば、問題ありません。
簡単に言えばその人が一年間に得る(安定した)収入の3分の1以上を貸し付けすることは禁止します、ということ。
年収300万円の人は、100万円以上借りることができないことを示しています。
賃金業者の規制
第二十一条 貸金業を営む者又は貸金業を営む者の貸付けの契約に基づく債権の取立てについて貸金業を営む者その他の者から委託を受けた者は、貸付けの契約に基づく債権の取立てをするに当たつて、人を威迫し、又は次に掲げる言動その他の人の私生活若しくは業務の平穏を害するような言動をしてはならない。
- 1 不適当と認められる時間帯に電話や訪問を禁止
- 2 会社や自宅・本人携帯以外に電話することを禁止
- 3 「帰ってください」と言われてもなお居続ける行為禁止
- 4 張り紙(いやがらせ)など私生活に介入する行為を禁止
- 5 借りた人の関係者からお金を調達する行為を禁止
- 6 借りた人の関係者にお金を要求する行為を禁止
「お金を返せ」と立ち回るような行為がことごとく、本当に何もかも禁止されています。
よくドラマなんかでドアをドンドンドンと叩き「○○さ~ん、いるんでしょ~? 御金返してくださいよ」と言ったりとか、いかにも強面の男たちがぞろぞろと現れたりとか、全部禁止です。
でもヤミ金のように、初っ端から法律なんか糞くらえとばかりに違法行為をしている人たちに、こういった禁止行為を「ダメですよ!」と諫めても、それでどうなるかは火を見るよりも明らかでしょう。
法律は精神面で守ってくれますが、物理的に守ってくれるとは限りませんから気を付けてください。