「給料を差し押さえられたら、もう生活できない……」
――キャッシング・カードローンの利用額が支払えない際、なかば無理やり財産を取り上げられてしまう『差し押さえ』という強制執行。
・いったいどのように財産を取られてしまうのか?
・どこからどこまで取り上げられてしまうのか?
・『差し押さえ』を免れる方法はないのか?
など
此度は、キャッシング利用で実際に『差し押さえ』の経験をした体験談を参考に、『差し押さえ』の実態についてご紹介/ご解説します。
≪差し押さえの実態≫
〔Aさんの体験談:突然やって来た書面〕
生活費をソーシャルゲームに課金してしまい、キャッシングを利用し始めました。 一度課金してしまうと「もう一回くらいなら……」という気持ちになり、それから何度も何度もソーシャルゲームに課金するようになって、気が付けば旦那には言えないほどの借金が……。 早く旦那に打ち明け返済してしまえば良かったのですが、大きな借金を作ってしまった自分自身に嫌気がさして、何もかも忘れようと借金を見て見ぬフリで済 まそうと、その後、何度も何度もキャッシング会社から連絡がありましたけれど、数カ月は借金がなかったことにして自分を落ち着けていました。 しかし、借金の返済を完全に断ってから4カ月くらいでしょうか。 突然、裁判所から書面がやって来て……その書面も見て見ぬフリしてしまいました。 以降、何事もないかのように思われましたが、数週間後に給与が振り込まれる旦那の銀行口座を『差し押さえ』られてしまい、旦那にも借金の事実がバレてしまいました。 |
[差し押さえの順序]
① 書類や電話による返済催促・連絡
――借金を既定の期日までに返済せずにいると、返済日もしくは数日後にまず第一の返済催促・連絡があります。
例:
「ご指定の口座から引き落とそうとしたところ、口座に残高がなく、お引き落としができませんでした。お送りしたハガキに記載されている指定の口座またはコンビニなどからご返済ください」
② 書類や電話による返済催促・連絡(頻繁)
――借金を返済せず一週間~数カ月経過すると、債権者の方でも容赦がなくなり、頻繁に返済催促の連絡が送られてきます。
例:
・毎日毎日、朝/昼/夕と『1日に3回』電話にて返済催促の連絡
・書類の表面などに堂々と“消費者金融の名称”を記載して連絡
③ 裁判所から書面が届く
――債権者(消費者金融や信販会社など)が『差し押さえ』の手続きに踏み出した際、“裁判所への出廷要請”が当人のもとに届きます。
例:
出廷した場合 → 借金の返済の可否における判決が下されます。
出廷しない場合 → 借金を返済する意思がないものと判断され、債権者の主張が判決に影響されます。
Q:出廷しても出廷しなくても、どうせ借金払わなければならないのなら同じでしょう? A:――確かに、出廷したからといって“借金がなくなる”わけではありませんから、出廷してもしなくても同じ結果になるように思えるかもしれませんが、出廷しない場合、ほとんど『差し押さえ』が判決として下されます。 しかし、出廷した場合に限っては、債権者と直接会うことで、“相手に真摯な態度”が伝われば、『差し押さえ』が免れることもあります。 |
出廷要請が届いてから2週間以内ならば意義申立てができるわけですが、それだからと言って出廷要請の書面が来てすぐに「弁護士を雇わないと……」「裁判所に行かないと……」と、短絡的な判断で行動することは避けましょう。
弁護士費用(相場):10~50万円
交通費(遠方の場合):2~5万円
ただでさえ『差し押さえ』問題で苦難しているときですから、弁護士や交通費などで乱費するくらいなら、借金返済に充てて裁判に出席しない方がよほどマシです。
※ 裁判に出席したいけれど経済的に不可能なとき ――裁判では『擬制陳述』といって、答弁書(自作できますので弁護士に相談するよりもまず努力してみましょう)を送ることで、実際に裁判所に行かなくても裁判に参加することができます。 また、実際に出向く場合であれば、『移送申立』の申請を行うことで、裁判所を近辺の裁判所に移してもらうことが可能です。 |
④ 差し押さえ
――裁判にて『差し押さえ』の判決が下された場合、下記の財産(対象物)が強制的に返済に充てられます。
・給料……給料の4分の1が『差し押さえ』の対象になります。(執行官から会社に「給料の4分の1の額を差し押さえてください」と連絡が行くため、会社の同僚に周知される可能性があります)
・乗り物(自動車や個人用の船など)……所有している乗り物が対象になります。(車で仕事に通っているとしても、仕事場までの交通手段がある場合、車は生活に絶対必要なモノではなくなり、差し押さえの対象になりますので注意)
・生活に不必要な価値ある物品……その物品がなくても生活に支障がないと判断された物品が差し押さえの対象になります。(骨董品や証券、パソコン、スマートフォンなど)
・貯金……銀行口座に預けられている貯金/預金などが差し押さえの対象になります。(年金は対象外ですが、銀行に預けられた時点で差し押さえの対象になりますので注意してください) |
※ 生活に必要とされる家具や道具、家電、食料、土地、家などは、差し押さえの対象になりませんので安心してください。
≪アドバイス≫
『差し押さえ』の件で弁護士にかかる費用と、借金を帳消しにする『債務整理』で弁護士にかかる費用を比較した場合、『債務整理』にかかる弁護士費用の方が安価で済むことがあります。
一概にはいえませんけれど『差し押さえ』られるくらいなら、『差し押さえ』が執行される前に『債務整理』の手続きに乗り出しましょう。
※ くれぐれも「借金の時効まで待って踏み倒そう」などと考えて、安易な行動にはでないようにしてください。(見て見ぬフリを続ければ、それだけ不利な立場に追い込まれてしまいます)