カードローンとクレジットカードは、おもな用途が異なります。
カードローンは現金の借入、クレジットカードは代金を後払いするための商品です。
クレジットカードでもキャッシング機能により、現金の借入が可能ですが、カードローンとは特徴が異なるので使い分ける事が大切です。
今回はカードローンとクレジットカードの違いや、それぞれの特徴などをご紹介しましょう。
記事の目次
カードローンとクレジットカードの違いとは?
カードローンとクレジットカードのキャッシングの違いを理解するために、少し歴史的な背景を知っておく必要があります。
また、平成22年に改正施行された貸金業者を対象とする法律、「貸金業法」も大きく関係しています。
貸金業法が改正される以前、「多重債務者」が大きな社会問題となっていました。
多重債務者とは、いくつもの貸金契約を結んでしまい、返済困難な状況になってしまっている人の事を指します。
当時、多くの消費者金融は利用者の返済能力をはるかに超えた貸付を行っていました。
当然、返済出来ない状況に陥ってしまう多重債務者が多数発生し、そのような利用者に対して消費者金融は厳しい取り立てを行っていました。
したがって、当時を知っている人からすれば、ほとんどの商品名が「キャッシング」だった影響で「キャッシング=イメージが悪い」というように感じてしまうのです。
貸金業法が改正される以前は、以下の違いがありました。
- キャッシング:カードを介さず翌月一括返済する融資商品
- カードローン:カード介し毎月分分割返済する融資商品
しかし、多重債務者問題を受けて、多くの消費者金融が「キャッシング」から「カードローン」へと商品名を変更しました。
なぜなら、イメージが悪くなることでの影響を避けるためです。
つまり、商品内容的にはキャッシングなのに商品名はカードローン、というものができあがったのです。
その後、利便性向上のためにキャッシングでもカードを介するようになり、分割で返済を行う現在の形となりました。
したがって、現在はキャッシングとカードローンの違いはほとんど無いと言うことです。
ただし、業界的な側面として、「キャッシング」という商品名を用いるのは主に消費者金融で「カードローン」という商品名は銀行の取り扱う商品が主となっています。
キャッシングとカードローンの違いは1つ挙げるとすれば、取り扱っている業者が大きな違いと言えるでしょう。
【クレジットカードとカードローンの違い】
比較項目 | クレジットカード | カードローン |
主なサービス | 決済時のお金を立て替えてくれる | 現金を借り入れできる |
ショッピング機能 | 〇 | × |
付帯する特典 | カードによって異なる | × |
年会費 | カードによって異なる | 基本的に無料 |
金利 | カードによって異なる | ローンによって異なる |
無利息期間 | × | 設定されている場合あり |
またメインとなるサービス内容も違いますね。
クレジットカードは、決済時のお金を立て替えてくれるのが、主なサービスです。
ショッピング機能を利用すれば、ショッピング枠の範囲内で商品やサービス代金の一時的な立替が可能です。
一方、カードローンはお金の借入に特化しています。
限度額の範囲内で、ATMや口座振替などの現金借入が可能です。
なお、どちらも利用・借入語には利用額に伴う支払い・返済を行います。
このほか、付帯する特典の有無など、クレジットカードとカードローンにも違いがあります。
クレジットカードはカードによって海外旅行傷害保険や優待特典などのサービスが付帯しますが、カードローンにはありません。
お金に関する問題が発生した際は、自身の悩みを解決するのに適したサービスを選びましょう。
キャッシングができる二つの方法
「どうしても現金が必要、でも手持ちが足りない・・・」。
こんな時に重宝するのが、手軽に現金の借り入れができるキャッシングです。
しかし、一口にキャッシングと言っても、大きく分けてカードローンを使う物とクレジットカードの付帯機能を使う物の2種類があります。
それぞれの違いを説明しましょう。
カードローンとは借入専用のサービス
カードローンは、借入専用のサービスとして生まれた商品です。
借りられる金額は、発行会社による審査はありますが、1-~800万円までなど、かなり大きな金額まで借りられます。
複数回あるいは長期にわたっての借入を前提にしている商品ですので、カード付帯機能のキャッシングに比べて金利は、比較的低めの傾向があります。
基本的に、毎月決まった額を返済するため毎月の家計への影響が少ないという利点もあります。
また、臨時収入があった場合には、追加で返済する「臨時返済」も利用できます。
カードローンを契約をしているだけなら年会費もかかりませんし、商品によってはATMを利用しても、手数料無料のものがあります。
日常的にキャッシングを利用する人はには、ピッタリのサービスと言えるでしょう。
ただし、カードローンはクレジットカードとは違いますからショッピング枠はなく、買物などの支払いに使う事はできません。
クレジットカードはショッピングがメインのサービス
クレジットカードは、現金を使わずに支払いができる、ショッピングを中心とした機能を持つカードです。
さまざまな買物やサービスの他、公共料金、電話料金など、日常生活での「支払い」と言うアクションに特化しています。
その支払いに関連する付帯機能のひとつとして、キャッシング機能があるというわけです。
クレジットカードは、クレジットカード全体で利用出来る金額の上限(総理用枠)があり、その中にショッピング枠とキャッシング枠があります。
例えば「総利用枠60万円、ショッピング利用枠60万円、キャッシング利用枠20万円」の場合、ショッピングとキャッシング合わせて60万円まで使えるという事です。
つまり、10万円をキャッシングした場合には、ショッピングで使えるのは残り50万円となります。
また、銀行やコンビニのATMでキャッシング機能を使用してお金を引き出す際には、別途ATM手数料がかかる場合があります。
キャッシングの返済は、会社によっては1回払いあるいはリボ払いが選べますが、たとえ1回払いであっても、キャッシング利用の場合は15.0%~18.0%前後と、カードローンと比べると、やや高めの金利が設定されています。
クレジットカードのキャッシングを利用するなら、設定されていなければクレジットカード発行会社へ申し込みましょう。
同じ会社のクレジットカードを持っていればカードローンもすぐ持てる?
金融機関や信販会社、クレジットカード会社など、ひとつの会社がカードローンとクレジットカードの両方を取り扱っていることがあります。
同じ会社であるため、クレジットカードをもっていれば、カードローンも持てると思われがちですが、この2つは全くの別物です。
年齢等の条件によっては、「カードローンへ申込みはできない」ということもありえます。
カードローンの申込み条件をクリアしているか
カードローンを申し込むには、前提条件があります。
主な条件は次の通りです。
【カードローンの申込み条件】
- 20歳以上(学生不可)
- 安定的かつ継続的な収入がある
- 収入証明書の提出(求められる場合がある)
- 利用枠は年収の3分の1まで(総量規制)
最後の「総量規制」は、貸金業法に定められた規定で「年収3分の1を超える金額を貸し付けてはならない」というものです。
これは個々の融資ではなく、他社で借りている金額も含めてその人が実際に借りている金額の総額で計算されます。
例えば年収が600万円の人であれば、貸付可能な金額は200万円までです。
しかし、この人が別のカードローンを持っており、そのカードローンで借りている金額が100万円だとしたら、総量規制の借入限度額200万円から差し引いて残り100万円までしか借りることができません。
ですから、この状態で「利用枠300万円」のカードローンを申し込む事はできない、と言うわけです。
もちろん、利用枠100万円のカードローンであれば、申し込む事はできます。(ただし、年収の3分の1以下だからといって、必ず審査に通るとは限りません)
クレジットカードとカードローンは個別に審査
申込みが済んでも、審査が通るかどうかはまた別の話です。
同じ会社がクレジットカードとカードローンを取り扱っている場合、「A社のクレジットカードを持っていれば、同じA社のカードローンもすぐ審査が通るだろう」と考えてしまいがちです。
しかし、実際はそうではありません。
クレジットカードとカードローンはそれぞれ個別に審査するため、同じ会社のクレジットカードを持っている事でカードローンの審査に有利に働き、通りやすくなるということはありません。
クレジットカードとカードローンは別々のものという認識を持っておくと良いでしょう。
「あれば安心」のカードローンとクレジットカード!
カードローンでのキャッシングと、クレジットカードの付帯機能としてのキャッシングは特徴が異なります。
借りたい時の状況によって、使い分けていくことが重要でしょう。
例えば、レジャーや欲しい物があって元手がたりなくなりそう、冠婚葬祭などのライフイベントの予定が続きそうなど、頻繁に毎月の収入を超えてお金が必要になることが想定される場合は、カードローンを契約すると便利です。
すでにショッピングでクレジットカードを利用していて、たまに小額の借入をしたい場合には、カード付帯のキャッシング機能を利用してみるのも良いでしょう。
いずれにしても、いざというときの安心感につながるはずです。
カードローンとキャッシングのメリットデメリットのまとめ
それではカードローンとキャッシングのメリットとデメリットのまとめをご紹介しましょう。
商品名 | クレカ・キャッシング | カードローン |
メリット | 無人契約機を設置しているケースが多く、気軽に借りやすい・審査から融資までが早い・銀行カードローンよりも審査に通りやすい傾向がある・多くのキャッシング商品は一定の無利息期間を設けている | 低金利で利用出来る・提携ATM利用手数料が無料の物が多い・イメージが良い・長期的に返済したとしても負担が少ない |
デメリット | 金利が高い・キャッシングのイメージがあまり良くないため、第三者に利用の事実が漏れると不利益に繋がる場合がある | ネット銀行が取り扱っている場合には無人契約機の設置がないため、融資に時間がかかってしまう場合がある・審査通過率は低め・審査から融資までのスピードがおそい |
詳細 | 主に消費者金融が取り扱っている融資商品・かつてはカードを介さず翌月一括返済が主だったが、現在ではカードを介したリボルビング方式による分割返済が主流 | 主に銀行が取り扱っている融資商品・かつてはキャッシングよりも人気の無い商品だったが、貸金業法改正後に高い人気を得る・毎月の返済金額を抑えた商品もあり、長期的な返済にも活用できるようになっている |
ちなみに、現在の貸金業法は厳しい多重債務者対策を実施しており、義務を怠った業者に対しては厳しいペナルティを科すように定められています。
したがって、現在のカードローン・キャッシングは以前のような厳しい取り立てもありませんし、返済能力以上の貸付や高い金利で貸し付けすることもありませんので、安心して利用する事ができます。
カードローンを利用するのが合う人・合わない人
カードローンに合う人と会わない人を簡単にまとめました。
合う人 | 合わない人 |
低金利でお金を借りたい | いますぐ借りたい |
銀行が取り扱う商品を選びたい | 無人契約機を利用したい |
提携ATM利用手数料を節約したい | 審査に通りやすいものがいい |
カードローンには銀行の取り扱う商品が多く含まれており、キャッシングに比べると低金利に設定されているものが多いです。
その反面、審査に時間がかかったり、無人契約機を利用出来なかったりと、融資スピードが比較的遅い傾向があります。
特に急いでいる方はキャッシングを利用するといいですよ。
キャッシングに向いている人はどんな人?
ここまでの内容をふまえて、キャッシングに向いている人は、以下のポイントを優先する人だと言えるでしょう。
- とにかく借りたい
- 短期間で返済する予定
- 多少金利が高くても融資までのスピードを優先したい
- 審査に通りやすい商品が良い
キャッシングはカードローンよりも審査スピードに特化した商品が多く、即日審査が基本となっています。
とにかくすぐにお金が必要な場合はキャッシングを利用しましょう。
まとめ
カードローンとキャッシングは商品内容にはほぼ違いはないですが、取り扱っている業者によってメリットが異なります。
しっかりと情報収入を行い、自分のニーズに合った商品を見つけましょう。