売掛債権を現金化し、資金ショートを防ぐことにも有効なファクタリングは、今や銀行融資と同じくらい重要な資金調達方法の一つと言われています。
しかしながら、その仕組みを詳しく理解している人はそう多くありません。
そこで今回は、ファクタリングの仕組みと利用方法を詳しく解説していますので、ぜひ最後まで御覧ください。
記事の目次
ファクタリングとは
ファクタリングとは売掛債権を買い取るサービスのことで、企業はファクタリング会社に売掛債権を買い取ってもらうことで資金化できます。
売掛金を資金化するという構造上、売掛金がある会社でないと利用することはできません。
製造業や建設業など売掛金の金額も大きく、また入金されるまでの期間が長い場合、利用することによって資金の工面ができます。
また、銀行融資とは異なり、利用しても借金が増えるわけではないのも選ばれる理由の一つです。
決算上負債も増えないため、資金調達以外にも財務諸表の調整にも役立てることが可能です。
そのため、問題がなければ入金されるまで2・3日で済むことも特徴の一つと言えるでしょう。
ファクタリングの仕組み
ファクタリングがどのようなものかわかったところで、続いては使い方やその仕組みについて解説します。
ファクタリングには「自社」「取引先」「ファクタリング会社」の三社が関係していますが、取引先の関わり方によって二社間と三社間の二つに分類されます。
二社間ファクタリング
自社とファクタリング会社の二社によって行われる取引です。
②ファクタリング会社が自社に対し、手数料を差し引いた売掛金の相当額を支払う
③取引先が自社に売掛金を支払ったら、ファクタリング会社にその金額を支払う
取引先に何かしてもらうことはないため、相手に知られる可能性は低いです。
三社間ファクタリング
自社とファクタリング会社の他、取引先も関わります。
②自社と取引先間でファクタリングの契約と承諾をする
③取引先に対し、自社が支払金額の確認を行う
④自社に対しファクタリング会社が売掛金の相当額を支払う
⑤取引先に対し、ファクタリング会社が請求金額を確認する
⑥ファクタリング会社に対し、取引先が売掛金を支払う
三社間では、売掛金の支払いを取引先がファクタリング会社にするため、利用するにあたり、取引先に債権譲渡を承諾してもらう必要があります。
このように二社間と三社間があるファクタリングですがそれぞれにメリットとデメリットがあります。
まず二社間では、取引先の承諾を得る必要がなく、二社の間で契約が成立するため、手続きもスムーズに進み、資金化するまでにかかる時間を短縮できます。
また、取引先に利用していることを知られる心配は少ないものの、絶対ではないため、万が一知られた場合に信用を失う可能性も否めません。
続いて三社間では、二社間に比べて手数料も低いことに加え、取引先の承諾も得ているため、知られる心配をする必要がありません。
しかし、取引先も関わることから説明や承諾に時間がかかり、資金化できるまでに時間がかかるうえ、審査が厳しい傾向にあることから、利用までのハードルが二社間に比べて高いと言えるでしょう。
ファクタリングの種類
ファクトリングには「買取型」と「保証型」の二つの形態があります。
そしてそこから、さらに二つの種類に分かれます。
買取型
ファクタリング会社から売掛金を買い取ってもらう「買取型」には、「一括ファクタリング」と「診療報酬債権ファクタリング」があります。
診療報酬は通常受け取るまで2~3ヶ月かかるため、資金化を少しでも早くしたい場合に利用されます。
保証型
万が一取引先が倒産した場合の支払いを保証してもらう「保証型」には、「保証ファクタリング」と「国際ファクタリング」があります。
しかし、あくまで支払いを保証してくれるだけで、現金を先に支払ってくれるわけではありません。
このように四種類がありますが、基本的に利用するのはほとんど一括ファクタリングでしょう。
ファクタリング方式のメリット・デメリット
ファクタリングにはどのようなメリット・デメリットがあるのか解説します。
資金化までのスピードが速い
銀行融資などに比べて審査にかかる時間も短いことから、資金化までそれほど時間が掛からないため、中には即日対応しているファクタリング会社も存在します。
また、売掛金の回収までに期間を要する場合でもすぐに現金化できるため、キャッシュフローの悪化を抑える有効な手立てとなるでしょう。
信用情報に関係しない
融資とは異なり借金ではないため、利用しても信用情報に記録も残りませんですし、信用情報の確認もありません。
売掛金未回収となる危険性を回避できる
ファクタリング会社に手元にある売掛債権を譲渡した時点で、取引先が倒産した場合の貸し倒れリスクも同時に移るため、万が一のリスクを回避することが可能です。
手数料が高い
ファクタリングでは手数料が比較的高く、二社間では10~30%、三社間では1~10%が相場といわれています。
これらは基本的に利用しなければかかることのない費用ですから、無計画な利用によってキャッシュフローが悪化する可能性もゼロではありません。
取引先との関係性に問題が生じる可能性がある
三社間ファクタリングを行う場合、取引先の承諾を得る必要があります。
状況によっては経営状況が悪化しているのではと信用を失う恐れがあり、関係性が悪くなる可能性があります。
ここまでファクタリングについて詳しく紹介してきましたが、うまく活用することで、資金ショートを防ぎ、キャッシュフローの悪化にも有効であることから、銀行融資にも劣らない重要な資金調達方法の一つと言われています。
ファクタリングの業者の中には、悪徳な業者も存在し手数料が曖昧な会社は、その後高額な手数料を請求されるリスクがあります。
そのような会社に騙されないためにも、選ぶ際には契約条件だけでなく会社の住所や代表がきちんと明示されているか、相場に比べて緩い条件でないかなど、しっかり確認してください。
ファクタリングはすぐに資金化できるなど、メリットも多々ある一方で、手数料が高かったり、取引先の信用を失う恐れがあったりとデメリットも存在するため、利用する際には先のことまで十分検討することをおすすめします。