名義貸しって聞いたことはあると思いますが、詳しい事を分かっている人はいるでしょうか?
今回は名義貸しについてのご紹介ですが、あわせて消費者金融カードローンで名義貸しを行った場合のリスクなど、そして対処法をご紹介します。
記事の目次
名義貸しとは?
名義貸しとは名前の通りですが「自分の名義を他人に貸す」という行為になります。
実際の契約当事者でない人が他人から依頼されて、契約上名義人になる事も言いますが、大体の場合は自分の名義を承知の上で他人に貸して、自分名義のクレジット契約を行い、他人がそれを利用するというもので、この場合は名義を貸した人が契約の責任を負うことになります。
消費者金融などのカードローン契約の為に、名義貸しをする事もあれば、免許が必要な事業を行うために免許を持っている他人が名義貸しをする事もあります。
ローン契約における名義貸しは、他人の為にお金を借りる行為!
消費者金融などとのカードローン契約に於ける名義貸しと言えば、あなたが他人の為にお金をかりる行為と考えて間違いないでしょう。
ここで、名義貸しをした場合に注意しなければならないのは、消費者金融からお金を借りるのはあなたじゃ無くて違う誰かかもしれませんが、実際に消費者金融に対して借金の返済業務をおうのはあなた自身という事を自覚しましょう。
たとえ実際に返済しているのがあなた以外の誰かであっても、消費者金融にとってのカードローン契約者はあなたです!
つまり、言い換えると他人の利益の(消費者金融からお金を手にいれる)為に、あなたが不利益をこうむる(消費者金融からの借金を背負う)事になるわけです。
名義貸しが行われる典型的なパターンは?
名義貸しが行われる代表的なパターンを3つほどご紹介しましょう。
1.金融ブラックの人がお金を借りる為に名義貸しを依頼する
過去に消費者金融などから借りた借金の債務不履行を起こしたり、破産・個人再生・任意整理などの債務整理を行ったりすると、いわゆる「金融ブラック」の状態になります。
金融ブラックとは信用情報機関の保有する事故情報リスト(ブラックリスト)に掲載され、各金融機関などからの与信(ローンやクレジットカードによる信用供与、携帯電話端末の分割払など)が受けられない状態をいいます。
金融ブラックの人は、債務不履行や債務整理が発生してから5年~10年の間、ローンを組んだりクレジットカードを作成したりすることが出来ません。
このブラックリスト掲載期間中に、車の購入や事業投資などでどうしてもローンを組みたいと考えた場合に、金融ブラックで無い人に対して名義貸しを依頼するというケースがよく見られます。
2.取引上の信頼を得るために名義貸しを依頼する
ビジネス上の契約では、相手方がどの程度信頼出来るかという点が極めて重要です。
たとえば大企業である、有名な経営者がバックについているなどの事情があれば、一緒にビジネスをしたいと考える取引先は増えるでしょう。
この事を利用して、実際には全く取引とは関係がない大企業や、有名経営者を架空の名義人として、好条件で取引を受注しようとするパターンが稀に見られます。
相手方としては、大企業や有名経営者の信用力をあてにして取引を始めたにもかかわらず、途中でそれが架空のものだったと分かるのですから、不測の損害を被ってしまいます。
3.必要な認許可などを持っている会社に対して名義貸しを依頼する
新規ビジネスを始める際に、ビジネスの内容によっては、業法上の許認可が必要なケースがあります。
例えば、宅建士(宅建業者・宅地建物取引士・宅地建物取引主任者)、金融・決済系のビジネス・各種士業など。
許認可を取得しようとすると、膨大な書類を揃えて監督官庁に提出し、その後監督官庁との間で綿密な折衝を行わなければならず、かなり長期間にわたる準備が必要です。
この許認可取得の手間や時間を省略するために、すでに許認可を持っている業者に対して名義貸しを依頼し、その会社の名義でビジネスに関する契約を締結すると言うパターンが見られます。
名義貸しの違法性とリスクとは?
ビジネス上の取引に於いて、名義を偽ることは多くの場合違法となります。
名義を偽った本人だけでなく、名義貸しを行った人に対しても、以下の法的なリスクを負いかねないので、違法な名義貸しには加担しないようにしましょう。
1.詐欺罪の共同正犯または幇助にあたり刑事罰をうける!
取引上の名義を偽ると言うことは、相手方に対して、取引当事者に関するウソの情報を伝えて契約を締結させることを意味します。
特に、ローンなどの金銭の交付を目的とした契約の場合、名義を偽って契約を締結する行為は「詐欺罪」(刑法第246条第1項)に該当する可能性があります。
そして、名義貸しを行った人についても、果たした役割の重要性や関与の度合いなどに応じて、詐欺罪の共同正犯(刑法第60条)または、幇助犯(刑法第62条第1項)が成立します。
詐欺罪の共同正犯の場合の法定刑は「10年以下の懲役」、幇助犯の場合の法定刑は「5年以下の懲役」です。
いずれも極めて重い刑事罰が科される可能性があるので、安易な名義貸しを行ってはいけません。
2.本人の契約責任を連帯して負担することになる
証人が名が士を他人に対して行った場合、その名義を信頼して取引関係に入った相手方に対しては、その取引によって生じた債務を、当該他人と連携して弁済する責任を負います。(商法第14条)
また、証人ではない場合であっても、権利外観法理によって同様の契約責任を負う可能性があります。
名義貸しを行った人が、実際に取引に全く関与していなかったとしても、相手方との関係では、そのような良いわけは通用しないので注意しましょう。
3.契約違反として損害賠償義務を負う
取引に関する契約では「契約当時者本人が取引を行う事」が当然の前提になっています。
なので、もし名義貸しが契約締結後に発覚した場合、取引に関する信頼関係を破壊する行為として、契約の解除事由に該当する可能性があります。
この場合、名義を偽った本人とともに、名義貸しを行った人(会社)も連帯して、相手方に対する損害賠償責任を負担する恐れがあります。
4.業法上も違反となる可能性がある
許認可を取得する手間や時間を惜しんで、すでに許認可を持っている会社の名義を冒用(権利者の同意を得ずに使用する事)してビジネスを行う事は、業法上違反になります。
この場合、名義貸しを行った会社に対しても、以下の法律上のペナルティーが課される可能性があります。
- 許認可の取り消しなどを含む行政処分
- 課徴金の納付
- 刑事罰
どのようなペナルティーが科されるかは業法の内容にもよりますが、特に許認可の取り消しを受けてしまった場合、今後そのビジネスを自社で行う事が出来なくなってしまいます。
違法な名義貸しに関与したばかりに、苦労して取得した許認可を失うことになっては本末転倒ですね。
名義を貸したら消費者金融からカードローン返済の催促が来た!
例えば友人が消費者金融からお金を借りる為に、頼まれてあなたが名義貸しをしたとしましょう。
その友人はあなたに名義貸しを頼んだときに「返済はちゃんとこっちでするから、心配ない。迷惑はかけないから大丈夫」と約束してくれました。
しかし消費者金融からお金を借りて数ヶ月経ったある日の事、突然その消費者金融からあなたの元に借金返済の催促がきました。
このときはあなたも驚きますし、自分に関係の無い借金だと思うかもしれませんが、これが大間違い!
名義貸しをした以上、その消費者金融と契約をむすんで借金をしたのはあなたです!
返済が滞れば連絡は当然名義をかしたあなたに来ます。
名義を貸しただけで、実際に借金をしたのは友人だと弁明してもそんな良いわけは消費者金融には通じませんよ。
借金の返済義務は名義人にある!
友人に頼まれてあなたが名義貸しをした消費者金融に対する借金について、友人が返済を滞納市暖めに消費者金融からあなたの元に借金返済の催促が来た場合、残念ながら借金の返済義務はあなたにあります。
自分は友人に頼まれて名義を貸しただけなんて理由は通用しませんので、名義貸しはしないようにしましょう!
名義貸しはリスクしかありませんよ。
いつの間にかブラックリストに!
借金の返済をしなければ当然支払い催促がきます。
でも支払いに応じないで延滞するとどうなるでしょうか?
この場合、法律上支払い義務は名義人にあるので、債務が履行されていない状態になります。
借主が貸金業者である場合には、名義人に関する信用情報を処理することになり、その結果名義人がブラックリストに載ってしまうことになりますよ。
詐欺罪など刑事事件に発展する可能性も!
名義を借りた人は、消費者金融や銀行などから金銭を受け取っています。
そして本来お金を借りようとした人自身がいわゆるブラックリストに載っている場合には、貸金業者からお金を借りることは不可能です。
しかし、名義を偽って借入をして、実際手元にお金を引き出した場合には、これは刑法の詐欺罪にあたる行為になります。
この詐欺罪にあたる行為を、名義を貸すという行為によって容易にしている事から、その行為は詐欺罪の幇助になる可能性もあります。
そのため、場合によっては逮捕され、刑事裁判で有罪になるケースもありますよ。
つまり名義貸しは非常に危険な行為だと認識することが大事なんです。
親に名義を貸して住宅ローンを組むのみ罪になる?
両親から名義貸しを相談された場合はどうなるでしょうか?
両親が丁寧退職して年金暮らしの場合や、自営業の場合に住宅ローンが組めず、代わりにあなた名義でローンを組んでくれないかと相談されたとしましょう。
結構ありそうな話しですが、これも違法行為ですよ。
両親が住宅ローンを組みたいが銀行の審査がとおらないから、子供に頼んで住宅ローンを組んでもらい実際の支払いは両親が行うと言うことですが、これも銀行を騙すことになりますので詐欺罪を問われる可能性があります。
たとえ、子供が同意していても両親に対しても名義貸しを行ってはいけません。
危ないバイトに要注意!
自分は名義貸しをするつもりがなくても、騙される可能性もあるので注意しましょう。
あなた名義で消費者金融でローンカードを作るとか、クレジットカードを作るといったバイトを持ちかけられたらそれは「名義貸し詐欺」だと思ってください。
巻単に稼げるバイトだと言葉巧みに近づき、消費者金融であなた名義のローンカードを作ったあとに、そのカードを渡すよう支持したり、後日返済するという約束でそのカードを使って消費者金融からあ多額のお金を引き出すよう支持を出します。
他にもクレジットカードを作り、作った後に、そのカードを渡すよう支持したり、後でキャンセルできると言う約束でそのカードを使って買物をするように支持したりすることもあります。
こうした支持に従うだけで、お金が稼げるバイトと言われますが、これは完全に騙されてますよ。
後日の返済もありませんし、買った物はキャンセルできません。
カードを渡してしまった場合は、おそらく限度額一杯まで利用され、消費者金融に多額の借金だけが残ります。
このような詐欺は実際に行われていますので、注意してくださいね。
名義貸しを頼まれ名義貸しをしてしまった場合の対処法は?
友人や知人などから名義貸しを依頼された場合、依頼に応じて実際に名義貸しをしてしまった場合には、事態が深刻化しないうちに以下の対応をとることをオススメします。
違法性やリスクを説明して断る!
名義貸しは多くのケースで違法になります。
名義貸しを依頼する側としては色々な事情があるのかもしれませんが、どのような動機であっても、名義を偽ってビジネスを行う事が最終的に良い結果をもたらすことはありません。
もし友人や知人から名義貸しを依頼された場合は、名義が支持関する違法性や法的リスクをきちんと説明し、毅然とした態度で断りましょう。
早めに弁護士などに相談しよう!
名義を貸したあなたに、借金返済が来た場合には、この借金を無しにすることは難しいかもしれませんが、消費者金融からの借金返済の催促を無視するだけではあなた自身の状況が悪くなる一方です。
早めに弁護士などの専門家に連絡して、消費者金融への返済が少しでも楽になる方法を相談しましょう。
まとめ
名義貸しのリスクについてご紹介しました。
どんな場合はであれ、絶対に名義貸しをしてはいけません。
たとえ親しい人でも、両親でも名義を貸すことは絶対に止めましょう!
名義を貸して欲しいと言って近づいて来る人は、それだけ困っている人ですし、そんなひとがきちんと返済出来る訳ありません。
心を鬼にしてきちんと断りましょう。
そして万が一名義貸しをしてしまった場合は、弁護士などにすぐに相談してくださいね。